大阪研修医

経験したことを共有したい研修医のブログ

volume depletionとdehydration

水を失った状態は「脱水」という一言で片付けられてしまいますが、正確には細胞外液の減少をvolume depletion、細胞内液の減少をdehydrationというようです。

英語圏の人なら、「脱水?とりあえず1号液全開でいっとけ」みたいなことって少なそうですね。

日本でいう「脱水」にあたる言葉は、“hypovolemia”が一番近いかもしれません。

hypovolemic shockが「循環血液量減少性ショック」を指すことを考えれば、hypovolemiaは単純に「血が足りねー」というニュアンスを持っていそうです。

なのでアバウトな「脱水」という言葉に一番近いのは、hypovolemiaじゃないかと僕は思います。

医籍登録はいつまでにすべきか

医師法の第6条には、
「免許は、医籍に登録することによつて、これをなす」
という記述があります。

すなわち医師国家試験に合格しても、医籍登録が済んでいなければ医業を行うことはできないわけです。

医籍登録は、住所地の保健所に以下の5つの書類を提出することで完了します。


①医師免許申請書
これにはなんと6万円分の収入印紙を貼らなくてはいけません。足元見過ぎやろww
ちなみに「罰金以上の刑に処されたことのある場合」はその旨を記述し、反省文などを添付しないといけないことになっています。嘘はNG。

②健康診断書
所定の用紙を学務課などから入手し、診療所等で書いてもらってください。
自分はかかりつけの先生に用紙を渡すと「お、キミ医者になるんか!お祝い価格でええで!」と言われ、100円で発行してもらいました笑

③登記されていないことの証明書
成年被後見人ではない」ことを証明するものです。
医師法の絶対的欠格事由の欄に書いてありましたね。
これは法務局に申請すればもらえます。

④戸籍抄本or戸籍謄本
本籍地の役所に申請しましょう。

⑤登録済証明書用葉書
医師免許が届くまでの「仮免許」になるものです。
52円切手を貼り付けて保健所に提出すると、郵送で返ってきます。
単なるハガキなのですがこれは臨床研修を行う上で必要になってきます。
これを持たずに研修することは、運転免許証を持たずに運転することと同じようなものなので、普通は研修先から提出を求められます。

ただ困ったことに、合格発表から研修開始までの期間というのは意外に短いんですよね。

合格発表を確認してから戸籍抄本を取りに行き、法務局に行き、診断書を書いてもらい…と悠長にやっていると、病院によっては研修開始に間に合わない場合も有り得ます。

なのでオススメなのは、「国試が終わったら収入印紙以外の書類は全部揃えておく」ことです。
収入印紙以外の書類はそんなに高くありませんから、もし落ちてしまってもそんなに金銭的ダメージは大きくありませんからね。

僕自身は国試終了から卒業旅行出発までの間に診断書以外は揃えてしまいました。
保健所への申請も発表当日に行きました。






しかし!!!



最速の3月18日に保健所へ提出したにもかかわらず、4月2日の現在に至っても未だ医籍登録は完了していないようです。

周りの18日に申請した人は完了している場合が多いようです。

どうやら人によって或いは保健所によって登録処理にかかる時間が異なるようです。

僕は政令指定都市に住んでいたので某区役所の保健課に提出しましたが…あそこは失敗だったかもしれませんね。




幸い4月8日まではオリエンテーションが続きます。

4月11日のローテ開始に間に合わなければ全く笑えない事態になりますが、果たしてどうなることやら……

いいブログのネタになったのでよしとしましょうか。笑

合格証書が届きました

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合格発表の4日後に届きました。

成績まで出るんですね。
知らなかったです。

一般90.5%
臨床83.3%
必修95.5%
という成績。

みんコレの結果より少し良くなってます。
みんコレの解答がいくつか間違っていた
ということなんでしょうか?

一般問題が模試より良くなったのは
直前期、「yn」と「公衆衛生rb」ばかり
読んでたからだと思われます。

臨床問題が模試より悪くなったのは
ひとえに「国試せん妄」でしょうねww
受験してみないとわからないですが、
国試は確実にせん妄のrisk factorになります。笑

休み時間の度に友達と会話したり、
甘い物を食べたりコーヒーを買いに出たり、
そういう気分転換が本当に大切だと思います。

休憩中year noteばっかり読んでたのは
完全な失敗でしたww



何はともあれ、
無事に医師になれてよかったです。
4月から頑張っていきます。

やるべきことをリストアップしてみよう

後輩から「○○はやらなくていいのか?」といったような質問をよく受けます。

○○の中身はQB、データマニュアル、必修QB、……
などなどです。



答えは簡単です。

あなたのキャパシティと残された時間次第です。

元も子もない話をするな!と言われそうなので具体例をお示ししたいと思います。







あなたはマッチングを終えたばかりの6年生です。

そろそろ国試に本腰入れなきゃな…と思いながらも9月になってしまった。

まだ臓器別完成講座1周すら終わってないよ、どうしよう。卒試もあるのに…

(モデルは私です笑)






あなたはこれから国試までに終えないといけないことをリストアップすることにしました。

するとこのような感じになってしまいました。

夏メック模試
臓器別完成講座の残り
卒試
産婦人科完成講座
小児科対策講座
マイナー対策講座
テコム第3回模試
サマライズメジャー
サマライズマイナー
公衆衛生対策講座
公衆衛生QB
冬メック模試
テコム第4回模試
必修予想講座
直前予想講座
LAST MESSAGE









…どうでしょうか。
恐ろしくなってきませんか?

これはあくまでメック派を例に使いましたが、メック派にとってはある意味最低限の勉強量だと思います。

なぜならQBが含まれていませんからね。





実は、もう一つ足りないものがあります。







回数別です。

回数別や模試というのは基本的に全て500問ですから、解くのに3日、復習を入れると1週間はかかってしまうものです。

そうなると上の計画に入っている模試4つと、回数別5年分をまともにこなすためには、なんと9週間もかかってしまうのです。





別に脅かすつもりはありません。

これらは一般的に必要とされている勉強ですから、これらを計画に入れた上で+αで出来ることであれば是非やっていただければなと思います。





ーーーーtake home messageーーーー
9月から勉強を始めるのであれば、
5ヶ月のうち最低2ヶ月は模試と回数別に取られるものと心得よ

合否を分ける、臓器別「以外」の問題

国が総合診療医・家庭医の数を増やし、従来の過度な専門分化を改めていこうとしているのは周知の事実かと思います。


国試にもその傾向は如実に表れています。
こちらをご覧ください。
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穂澄先生による110回国試の分析です。
もちろん注目すべき点は、老年医学からの出題数の著明な増加です。

110回にも、高齢者の嚥下機能やポリファーマシーといった、いかにも「家庭医学」という問題が多く見られました。

僕も試験中、「これ何科の問題や?」と何度も思いました。

いえ、そもそも「これは○○科、これは□□科」という考え自体が古いのかもしれません。



来年には4年ぶりのガイドライン改訂があります。
また、112回からは国試が400問2日間に減少します。

臓器別の勉強だけでは国試に対応できなくなる時代は、もう目の前にまで迫っているのです。



ーーーーtake home messageーーーー
国試の対策は、臓器別に分かれていない回数別を中心に

第110回を終えて まとめ

記事が増えてしまったので、最後にまとめ記事を作りたいと思います。

 

osakaresident.hatenablog.com

osakaresident.hatenablog.com

osakaresident.hatenablog.com

osakaresident.hatenablog.com

osakaresident.hatenablog.com

osakaresident.hatenablog.com

詳しくは各記事で述べているので、各記事をご参照ください。
 
 
僕がこのブログを通して主張しようと思ったのは
①国試の中心は今も昔もyear note
②臨床問題のトレーニングには診断が不明な回数別や模試を
③一般問題はビデオ講座を使って丁寧に理解を
の3つです。
 
図にするとこんな感じになります。笑

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一つの本に情報をまとめておくと、直前期にとても安心できます。
結局僕は会場へはynしか持っていきませんでしたしね。
こんな感じで勉強を数ヶ月頑張れば、誰でも安定した合格をゲットできると思います。
 
ただし、勉強法には向き不向きというものがありますから、これが全てではないです。
出来るだけ早く自分のスタイルを確立するのが最も大事だと肝に銘じておいてください。
 
質問がもしあれば出来る範囲でお答えしますので、気軽にコメントしてくださいね。

直前講座って必要?

質問をいただきましたのでお答えしたいと思います。

 

「予想って当たるの?」という疑問です。

 

 

 

ずばりお答えします。

 

ナメてたら思った以上に当たるし、

期待してたら思った以上に当たらない

 

というのが全てだと思います。

 

 

 

一応、予想には当たりやすいタイプと当たりにくいタイプがあるのでその話をしようと思います。

 

①当たりにくいタイプ

これは、予備校の先生が「臨床で大切だからそろそろ出るはず」として毎年言っているやつです。

最近の国試は臨床重視の傾向が強いので、確かにこれがいつか出るというのは間違いありません。

ただ、それが貴方が受ける国試かはわかりません笑

あまり期待しすぎないようにしましょう。

いかんせん情報量が膨大なので、だけは気を付けましょう。

 

ただし、僕は結構これにお世話になりました。

孝志郎先生直前講習より、右肩放散痛

medu4.com

孝志郎先生直前講習より、逆耐性

medu4.com

加藤先生twitterより、後発緑内障

medu4.com

 

当たらない当たらないと思っていたら結構当たるもんなんでしょうね、世の中。笑

 

 

 

②当たりやすいやつ

これは一定の根拠に基づいて出された予想です。

☆前回の国試でその片鱗が現れているもの

穂澄先生youtubeより、ITT

medu4.com

国試ガイドラインに記載されているがまだ出ていないもの

高橋先生講座より、バンコク憲章

medu4.com

などが当てはまります。

根拠がある分、当たりやすそうに思いますよね?

これが意外と当たらないんですよね。笑

 

 

 

 

③当たって当然のもはや予想ですらないもの

これは国試頻出テーマのことです。

「今年は大動脈弁狭窄症が出る!!」と予想している先生がいても

「知っとるわボケふざけんな金返せ!!」となりますよね?

110回も本社の模試が的中!!!みたいな宣伝文句は大抵これですね笑

 

 

 

 

④友達の予想

一番すごいのはこれです。

友達と直前に話し合っていたことって、驚くほど出るんです。

本当に。

何故かと聞かれてもわかりません。

 

おそらく友情パワーなんじゃないですかね(適当)

とにかく、友達は大切にしましょう。

国試関係ないですけどね。

 

 

 

ーーーーtake home messageーーーー

①予想は当たるも八卦当たらぬも八卦

②当たったら嬉しいな!くらいのつもりで居よう

③友達を大切に

総統閣下が110回医師国家試験についてお怒りのようです

今回は総統閣下が乱立してますね
 
 
ネタの練り込み的にはこれが一番丁寧で好きです
 
若干2ch国試スレの内輪ネタもありましたが笑

ビデオ講座徹底比較!!(比較になってない)

ビデオ講座どれにしよう…

 
っていうのは全ての医学生が悩むテーマですよね。
中には「MECもTECOMも取ったよー(ニコッ)」みたいなブルジョワお嬢さん達もいらっしゃいますが笑
 
コアなファンを獲得しているMACや、これからの発展が期待されるmedu4などの存在も忘れられません。
 
 
 
ちなみに僕個人は、ビデオ講座に関してはどれでもいいと考えています。
好きなものを選べばいいんじゃないですかね。
と言いますのは、ビデオ講座はあくまでペースメーカーみたいなものだからです。
回数別や模試を利用した勉強の合間にコツコツ知識の補充・確認目的で使っていくのが良いかと思います。
 
 
 
…と言ってしまうとこのブログの意味がなくなってしまいますので笑、僕が視聴した講座のレビューも一応していこうかと思います。
比較はしていません笑
 
 
 
①臓器別完成講座(当時はDr穂澄)
穂澄先生は本当に講義が上手いです。
臓器別完成講座はTECOMで言うところのSELECTに当たる講座です。
5年〜6年秋くらいまでにきちんとこなしておけば、回数別や模試を利用した勉強に入る前の基礎作りには十分と思います。
もちろん(SELECTもそうですが)完璧ではありませんから、その都度ynで確認することを忘れないでください。
くれぐれも冬に「穂澄(or三苫)はそんなこと言ってなかった!!!」なんて騒ぐことの無いようにしましょう。
 
 
②サマライズメジャー(Dr孝志郎)
6年11月くらいから配信され始めます。
内容は名前の通りで、本当に大事なところにしぼって講義してくれる感じです。
TECOMで言うところのTARGETに当たるものですね。
ですが孝志郎先生特有の総合診療医的目線からの解説や、最新のトピックス、孝志郎先生独自の予想が入る分、時間としては長めになっています。
こういう一見無駄話っぽい話から驚くほどの国試出題があるので凄いですよね。
 
 
 
①②を本当にしっかりこなしていれば、回数別や模試以外の勉強としては十分なんじゃないかなぁと思います。
もちろんynで周辺知識もちゃんと整理していれば、ですね。くどいようですが。
 
 
 
あとMECでは公衆衛生の高橋先生や眼科の加藤先生が有名ですね。
お2人とも業界では名の知れた講義のプロです。
高橋先生のエピソードトークは本当にお笑い芸人レベルの面白さで、国試本番中に思い出して吹き出しそうになるほどです。
ぜひ観てみてください。
 
 
この他にも産婦人科や小児科など沢山の講座が売り出されています。
どの社のものでもいいですから、とりあえず秋までには国試出題範囲全体のビデオ講座をきちんとこなしておき、
秋以降の回数別・模試・サマライズTARGET・直前講習などに備えておける状態くらいが安心だと思います。

【関西版】第110回総統閣下シリーズ

 

 

やっぱり偽通風と化膿性関節炎の鑑別は難しかったみたいですね。
 
 
これこそ、まさに今年の「合否を分けるその一問」(孝志郎談)でしょう
 
化膿性関節炎だと思ってしまったが最後、6点も落としてしまいますからね…恐怖の2連問ですから。
 
必修はほんとに診断力です。
こういうのって「QB整形外科」の痛風・偽痛風の章を漫然と解いていただけだとハマりうるんですよね。
 
一度自分で「これって化膿性なのかな?それとも偽痛風?うーん…それとも…」という風に実際に悩みぬいた経験が大事なんだと思います。

year noteは必要か

受験業界には、「QB不要論」を唱える人もいれば「ビデオ講座不要論」を唱える人もいます。
 
(考え方は人それぞれだと思うので、それ自体は大いに構いません。回数別不要論を唱える人は流石にいませんし)
 
この記事をご覧になる方の中には、こんな先生に出くわしたことのある人も多いと思います。
 
ーーー「year note?そんなものダメだ邪道だ」ーーー
 
ポリクリで何故かよく出会う、このyn否定派。
皆さんもこのyn不要論に頭を悩まされたことがあるのではないでしょうか。
 
指導医の意見というのは、学生にとって多かれ少なかれ影響を与えるものですからね。
 
 
 
 
 
 
結論から申しますと、僕は国試の勉強にはynが必須だと思っています。
 
そもそもの話になりますが、ynが不要だと主張する人々が多い原因は3つほどあります。
 
 
①国試対策本なんてけしからん!ハリソンを読みなさい!
 
 
指導医の言ってくることは大抵これだと思っていいです。
そして、これに耳を貸す必要は特にありません。
そもそもの目標が違うからです。
指導医は「世界中で読まれているスタンダードな成書に触れて、きちんと病態を理解し最新のエビデンスに触れてほしい」という親心からこれを言ってくれているのです。
これはこれでもっともなことです。
ynで患者さんを診れるようになったりはしませんからね。
 
ただし、私たちの目の前の相手は国家試験です。
確かに、最も確実な情報源から確実な病態への理解を得ることが非常に大切であるのは疑う余地もありません。
ですが大多数の受験生には時間がないのです。
時間の無い受験生にこれほど膨大な情報を処理しきることが可能でしょうか?
処理し切れる人なら構いません。その人はとても優秀な医師になるでしょう。
では処理しきれなかった人はどうなるのでしょう?
 
ハリソンは国試対策を始める前か、国試を終えた後に使うとすれば、ピッタリな本当に素晴らしい本だと思います。
ですが数ヶ月で国試に受からないといけない6年生に、一からハリソンを読ませるのはリスクファクター以外の何物でもありません。
 
 
 
②ynなんてオーバーワーク!三苫ノート万歳!
これは完全に①のパターンの逆ですね。
こんなことを大真面目に言う人って、実は驚くほど多いんです。
こういう人は模試を解く度に三苫はこんなこと言ってなかった!!(怒)」と口癖のように当たり散らしていることが多いです。
こんな受験生にならないためにも、自分の中にきちんとした情報ソースは持っておきたいですよね。
 
ynって意外と情報のアップデートが早いし、意外と臨床的でトピックス的なことまで書いてくれてるんですよ。
その分野の日本の第一人者のような先生に監修を依頼してるみたいですし、当たり前かもしれませんが。
 
調べた疾患の前後の記載を読むと、へえ~と思わせられることがたくさん書いてたりします。
しかも意外とそういうところから出題されたりするんですよね、最近の国試って。
 
 
 
③ynは羅列だけ!病態がわからない!ステップを読みなさい!ステップ!
 
 
これは厄介ですね。
確かにynは羅列的だと思います。
相当行間を読む力がないと、ynだけを読みこなすのは難しい気がします。
内科という膨大な知をあの1冊に詰め込んでるのだから、ああなってしまうのは仕方ないのかもしれません。
ynを持っている人ならわかると思うんですが、いきなり疾患ページを読んでも全然頭に入ってこないですよね。
文章という体を成していないからです。
 
そこで行間を埋めてくれる役割をするのが、実はビデオ講座や回数別なんです。
孝志郎先生の話を聞き、ynの該当ページを読んでラインマーカーを引く。
回数別を解いて発見した新しい知識があれば、余白に書き込んでいく。
忘れていた検査所見を見つけたら、ynの総論部分をまとめて読む。
そういった極めて地道な使い方をしているうちに、いつの間にかynが自分にとっての国試最強本になっている人って結構多いみたいです。
自分で行間を埋めていく作業が、実は一番いい勉強になるのかもしれません。
 
ステップに関しては、確かに病態について詳しく解説しているとても良い本なんですが、解説がクドいので国試向けに何度も読む用にはあまり向きません。
定期試験には最適ですがね。
また、解説が詳しくて長い分、冊数が多い割に扱っている内容が薄いんですよね。
ステップだけでいこうとすると、取りこぼす事項がポロポロ出てくるので結局不安が残ってしまうんです。
 
結局のところ
「ynなら、一冊で国試全部をカバーしてくれる」という安心感。
これが一番なんじゃないかなと思います。
 
 

ーーーーtake home messageーーーー

①一般問題はとにかく知識の量と、正確さ
②ynは大抵のことをカバーしてくれる

第110回医師国家試験、受けてきました

国試おわったーーーーーーーーーーー!!!!!!

 

本当に疲れました。

本格的に国試の勉強を始めたのは6年の夏(マッチング終了後)からでしたが、たった数か月とは思えないくらい密度の濃い日々でした。

やっぱり人間って、少し何かに追われてるくらいが一番生き生きしますね。

頑張ってるからこそ、たまに飲む酒が旨いんです。

 

このブログでは、後輩医師たちに向けて役立つ(かもしれない)情報を公開していこうと思っています。

ブログという媒体の性質上、不特定多数の目に触れる可能性があるためあまりぶっちゃけたことは書けませんが、その分多くの後輩医師の目に触れてくれればいいなと思っています。

 

今日は国試を受けにいってみて感じたことを3つ、忘れない内に書き残しておこうと思います。

 

 

 

①臨床重視の出題傾向はどんどん加速する

 

これは試験中に最も強く感じたことです。

輸液の具体的な組成についてや、具体的な抗菌薬選択・起因菌想定が問われるようになったことは注目に値すると思います。(http://medu4.com/110a54/など)

 

このような問題は今回の国家試験では当たり前のようにバンバン問われていますが、過去問にはほとんど見当たらないため正答率が上がりきらなかったようです。

やはり回数別の研究こそが国家試験の最重要課題なのでしょう。(これに関してはまた別記事で)

 

輸液や抗菌薬は、これまで「国試には必要ないけど研修医になったら必要になる知識」としてよく言われていました。

それが近年、「国試に必要な知識」へと大きく変わろうとしているわけです。

出題者の先生方に臨床を重視しようという意識があったのは間違いないでしょう。

そしてこの傾向は今後もさらに続き、111回のガイドライン改訂、112回の国試改革を経て医師国家試験のメインストリームとなっていくことでしょう。

 

また、近年の国家試験でよく見られる「高齢者とクスリ」というテーマからの出題は相変わらず多かったように思います。

おそらく出題委員の中に老年医学や総合診療の専門家がおられ、医学生たちにポリファーマシーに対する問題意識を持たせたいという意図を持っておられるのでしょう。

 

こういった分野からの出題は、QBやビデオ講座といった臓器別の勉強法だけではなかなか対応できません。

やはり最重要課題は回数別の研究なのでしょう。(大事なことなので)

 

また、今まで以上に実習重視の出題が多く見られました。(http://medu4.com/110a8/

これに関して、よく「実習を大切にしよう」などという非常に無責任な意見を目にします。

おかしな話です。

こちらは国試の問題を解けるようになるためにその問題集にお金を出すわけで、その問題集が

「こんな問題なんて解いても無駄だよ~。5年生のときに実習頑張ってなかったのが悪いんだよ~(ニコッ)」

って言ってきているような状況です。

相当イラッとしますよね。

そもそも実習なんて大学によってバラツキが激しいんだから、国試をその達成度のスクリーニングに利用すること自体がおかしいんです。

インスリン投与の現場を見るチャンスなんてありませんでした。

立ってるだけ、座ってるだけの実習をいくら頑張ったとしてもこのような問題には到底太刀打ちできないでしょう。

これでは国試の有利不利が、通う大学によって変わってきてしまいます。

国試を改革する前に日本の医学教育全体を改革するのが先だろう、と思います。

 

 

 

②臨床は本番で下がる。一般は上がる。

国試はせん妄のリスクファクターです。

せん妄とは意識障害そのものですから、このような状況で自分の判断力が正常だとは思ってはいけません。

なので、臨床の点数は必ず下がると思った方が良いです。

実際私も臨床がかなり下がりました。

一方で、一般は純粋な知識問題ですから、最後の冬模試以降も大きく上がる可能性を秘めています。

お分かりかと思いますが私が言いたいのは、秋頃までは回数別を通して診断力・思考力を磨いておくことを勉強の中心に据えるべきだ、ということです。

 

 

 

③驚くほどメンタルがやられる

直前の模試でもかなり余裕のある結果を得ていましたし、元から自分のメンタルは強い方だと思っていました。

それでも試験直前は言い様のない恐怖と心臓がバクバク鳴るような不安感に押しつぶされそうになりました。

そんなときに助けになったのは友達の存在だったと思います。

 

勉強環境についてはそれぞれの好みというものがあるでしょう。

ですが私は、友達と一緒に勉強することを自信を持ってお勧めします。

メンタル面は前述の通りですが、知識面でも本当に助けになりました。

他人と話し合いながら勉強していると、自分が全く意識していなかった着眼点や考え方がどんどん流れ込んでくるのです。

そしてそれが驚くほど試験に出ます。

1人で勉強していたら絶対に取れなかったであろう問題は数えきれません。

私にとっての予想的中MVPは、三苫先生でも孝志郎先生でもなく、勉強仲間です。

 

 

 

以上で本記事は終了しますが、まだまだ書ききれていないこと、後輩たちに伝えたいことがたくさんありますので、しばらくこのブログは続けたいと思います。

読んでくださってありがとうございました。

最後に今回の話の参考として私の成績表を載せておこうと思います。

冬メック

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↓一か月半後

本番

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やっぱり臨床下がってますね。笑

ただ、一般の点数は知識量に依存しますから、最後まで上がり続けます。

諦めず勉強すれば必ず何とかなります。

頑張ってください。

 

 

ーーーーtake home messageーーーー

①回数別を研究し出題者の意図、出題傾向をつかもう

②国試はメンタルとの戦い

③友達を大切に

プロブレム別診療マネジメントチャート50

卒業旅行に持って行く1冊を決めました。

 
こちらのレジデント向けマニュアルです。
 
病院見学や勉強会等でご一緒したことのある先生方が編集された本ということで、以前から気になってはいました。
 
 
 
 
この本のポイントは「プロブレムベースで編集されていること」「病棟で出会いそうなプロブレムが一通り網羅されていること」「とてもシンプルに纏まっていること」。
 
 
 
 
疾患ベースに編集されたマニュアルはたくさん出回っていますが、このようにプロブレム別に対処法を示してくれるのは嬉しいですね。
 
正直、実際個々の疾患へ介入するとなったらマニュアルではなく、ガイドライン・教科書・uptodate等、せめて2次ソース(できれば1次ソース)を参照した方がいいような気がしますし…

個々の疾患について書いてあるマニュアルの必要性というものに疑問を感じている今日この頃です。
 
僕が患者側だったらアンチョコ本片手に診療されるのはあんまり嬉しくないです。笑
 
 
 
ジェネラリストを目指す初学者にとしては、これだけ多くのプロブレムを扱ってくれてる書籍の存在はとても有難いです。類書では「不眠」や「鎮痛」などといった章はあまりお目にかかれませんしね。
 
 
 
何より嬉しいのが、各章がとても短いこと。笑
活字嫌いの私としてはこれはとても重要なポイントなのです。
たった2〜4ページに要点をギュッと濃縮することのできた編集センスには惜しみない賞賛を送りたいです。
 
 
 
一通り目を通してみましたが、この本は数多くある有名病院系レジデントマニュアルの中でも一際キャラが立っていますね。とても好きです。こういう本。
 
ただデザインがちょっと……医局では少し広げづらいかもしれません。笑
 
 
 
長い旅行になるので、移動中などに何度も読み込んで研修開始に備えたいと思います。国試の勉強とは全くフォーカスの異なった知識も大量に登場するし、頑張らなくては。
 
ちなみに鉄板の「当直御法度」も持っていきます。

回数別を全力で解く勉強

最もコストパフォーマンスの良い国試対策とは何か。
この数か月間は勉強しながらずっとそんなことを考えていました。
 
私が回数別の研究を推す理由は大きく分けて3つあります。
 
 
①臨床問題、必修は「診断力」が勝負
 
これが一番大きな理由です。
必修が200点満点のうち150点が長文問題で占められていることは皆さんよく御存じでしょうし、その後半部分には2連問が待ち構えていることも有名です。
この2連問は一つの疾患に対して別の方向から知識を問う問題が多いです。
すなわち、「診断を間違えてしまうと3×2=6点落としかねない」のです。
 
 
40点しか落とせない必修において、これは致命傷になりかねません。
必修に限ったことではないのですが、臨床問題で合否が分かれてしまう理由の8割がこの「診断を付けられない」ことに起因すると思ってよいでしょう。
 
110回ではhttp://medu4.com/110f26/なんかが「合否を分けるその1問」になったようですね。
この2連問は高齢者の単関節炎の鑑別ができるかどうかに全てがかかっていますよね。
 
 
では、診断力をトレーニングするにはどうすればよいか。
典型的な病歴を学ぶ
フィジカルを丁寧に学ぶ
普段から鑑別を挙げる訓練を怠らない……
これはよく言われることで、当然とても大切です。
心構え的にはそれでいいと思うのですが、心構えだけでどうにかなれば苦労はしません。
 
 
これはなかなか認識されていない問題点かもしれませんが、実は一般的な過去問集を解いていてもあまり有効なトレーニングにはなりません。
臓器別・疾患別に問題が並んでしまっているからです。
 
例えばの話ですが、「QB循環器」の大動脈弁狭窄症の章を解いていたとしましょう。
 
78歳男性。息切れを主訴に来院した…
から始まる問題を見た瞬間頭に思い浮かぶことはなんでしょうか?
 
恐らくは「心エコー」「心内圧検査」「大動脈弁置換術」辺りのキーワードが答えになる、という事実ではないかと思います。
 
しかし、実際の国試では「息切れ」というキーワードから他の弁膜症や冠動脈疾患や心筋症、呼吸器疾患、血液疾患、内分泌疾患などを鑑別に挙げ、尚且つこれらを病歴から否定することができていなければ適切な検査・治療を選び出すことは出来ません。
 
逆に言うと鑑別さえできていれば正解を選ぶことは容易なわけです。
ASだとわかった上で腹部CTを選ぶ人はいないでしょうしね。
 
以上の理由から、私はできるだけ多くの医学生に、
診断が予め判明していない回数別を利用して診断のトレーニングを積んでほしい
と考えているのです。
 
 
 
 
 
②一般問題はビデオ講座&year noteが最強
 
これに関してはまた別記事で詳しく書きたいと思いますが、私は一般問題は知識と理解が全てだと考えています。
 
沢山の知識の習得と病態の正確な理解のために近道はありません。QB等を利用して過去問を解きまくるだけでは必ず穴ができますし、何より理解ができません。
 
私としてはビデオ講座で全体像をつかんだ後にyear noteでチェックしていくという正攻法をお勧めしたいと思います。
 
 
 
 
コスパが良い
 
回数別は無料で公開されていますから、金銭面でとてもお得です。
僕みたいな貧乏学生にお勧めするのはmedu4。
穂澄先生特有の必要十分な解説が大量の問題を何周も解くにはもってこいでした。
 
お得なのは金銭面だけではありません。
国家試験には出題委員というものがあります。
そしてその出題委員は数年間変わりません。
 
お分かりかと思います。
当たり前ですが、自分が受ける国試の問題は、ほとんどが前年の国試を作った人たちが作っているのです。
 
人間にはクセや好みというものが絶対にあります。
ここ数年で出続けているテーマからは今回も絶対に出ます。
 
 
私個人の話で恐縮ですが、私は110回で「精神科の検査が2問以上出る」ことを知っていました。
ここ数年ずっと出続けているからです。
過去問集は網羅的に問題を載せないといけないため、相対的に検査の問題の存在感は低くなってしまいます。
ですが私は「精神科は検査だけでもいい」くらいのつもりでヤマを張り集中的に勉強していました。
回数別を研究していると、それくらい検査の問題が重要に見えてきてしまうのです。
結果的に2問を確保することができ、本当に良かったと思っています。
 
 
 
 
長くなってしまったので今日はここまで。
本当にオススメですよ、回数別。
 

ーーーーtake home messageーーーー

①臨床問題は「診断力」で決まる
②診断力は病歴身体所見から「鑑別を挙げる力」
③トレーニングは診断がマスクされた回数別で
④直近の過去問ほどコスパの良いものはない

QBは必要か

(最初に断っておきますが、あくまで勉強法は人それぞれです。自分に合った方法を探しましょう)

 
 
国試の勉強を始める上での万人共通の悩みといえば「何をやるか」でしょう。
 
研修医になった先輩達も、有る事無い事色んなことを言ってきます。
しかし、よく聞いてみると、先輩達の言うことは「ビデオ講座だけでいけたわwww」か「ビデオ講座もQBもどっちもやったよ」かのどちらかくらいではないでしょうか?
 
こうした経験は誰にでもあるかと思います。
国試の勉強を始めるにあたって最も僕らの頭を悩ませる事実は、
「QBをやるか否か」じゃないだろうか?と僕は思うわけです。
 
 
 
 
まずはじめに、結論から言いますと
 
QBは必ずしも必要な問題集ではないと思います。
 
僕はQBをほとんど使いませんでした。今も、やっぱり自分には必要無かっただろうなと思っています。
(一方でyear noteやRBはボロボロになるまで使いましたし、QBも公衆衛生だけは3周しましたよ)
 
 
 
 
まず前提の話ですが
 
国試の勉強には大きく分けて2つの段階があると僕は考えています。
 
一つ目は「病気を知る」という段階です。
 
CBTは何とか通ったけど国試レベルのことなんて何にも知らないや……というような時期は誰にでもあったはずです。
 
実はこの段階に使用するに限っては、QBというのはなかなか使えるツールだと思います。1周目問題という便利なシステムもありますしね。
 
しかしです。
 
今の医学生にこれが必要だとは思えません。何故なら、それよりも遥かに解りやすくスピーディで、かつ網羅性の高いビデオ講座を殆ど全ての医学生が受講しているからです。
 
臓器別○成講座やS○ELCTをきちんとこなしているなら、QB1周目問題というものはほとんど二度手間にしかならないように思います。
 
 
 
 
 
二段階目はやはり「過去問を解く」でしょう。
(過去問の重要性、解き方についてはまた後日書きたいと思います)
 
そしてここにQB最大の問題点が隠れています。
 
その性質上仕方のないことではあるのでしょうが、QBという問題集は「網羅性を蔑ろにすることが出来ないもの」なのではないかと思います。
 
QBは、網羅性を蔑ろに出来ないが故に「過去に出題されたことがあるが今の国試を解く上で重要性が高いとは言えない問題」を省くことが出来ません。
 
そのために、今度は「臨床現場においても重要性が高く出題頻度も高い近年のトピックス」に紙面を割くことが出来ていないという問題も生じています。
 
「網羅性を大切にしたが故に、逆に穴が出来てしまった」という大変皮肉な結果になってしまっているのです。
 
 
 
 
 
最近ではQB onlineという非常に便利で楽しいシステムが普及してきています。
 
間違えた問題にブックマークがつけられたり、year noteアプリの該当ページに飛べたり、全国順位が出るから楽しかったりと、とても人気のシステムになっています。
 
QBには古くても良い問題が沢山載っていますから、時間に余裕のある受験生や、問題を解くのが好きな受験生は是非QBをやり込んでいただいたら良いと思います。
 
無限に問題を解き続ければ、時間はかかってもいつか絶対に穴は無くなりますからね。
 
一方で、時間がない或いはコスパを重視したい大多数の受験生には、

 

osakaresident.hatenablog.com

 

をお勧めします。
 
また、むしろ「俺は国試の勉強だけで満足はしない!臨床に役立つことを学ぶんだ!」という人にも「回数別を全力で解く勉強」をお勧めしたいと思います。
 
 
ーーーーーtake home messageーーーーー
自分に合った勉強法は何か、一度「自分の頭で」真剣に考えよう。